宅建業免許を取得するには
宅地建物取引業法は、宅地建物取引を営むものに免許を与え、宅地建物取引の適正な取引の促進と消費者保護を目的としています。(宅地建物取引業法 第1条)まずは宅地建物取引業に該当する行為を確認してみます。
宅地建物取引業に該当する行為とは
広い意味では不動産業という表現になると思いますが、一般に不動産業とは売買や仲介(媒介)、賃貸、管理などさまざまな業態があります。ここで宅建業とは、、
■自らが行う宅地や建物の売買や交換
■売買、交換、賃貸借をするときの代理や仲介(媒介)
といった取引を扱う業種を指します。
また、不特定多数の人を相手として宅地及び建物に関して下記の表のような行為を反復または継続して行い、社会通念上事業の遂行とみることができる程度のものを指します。
※不動産業であっても、不動産賃貸業(自ら賃貸)や不動産管理業は宅地建物取引業には該当しません。
《宅地建物取引業に該当する行為》
区分 | 自己物件 | 他人の物件 | |
代理 | 媒介 | ||
売買 | ○ | ○ | ○ |
交換 | ○ | ○ | ○ |
賃借 | × | ○ | ○ |
宅建業免許取得の要件分析
建設業許可申請をはじめとする他の多くの許認可申請と同様、宅建業免許申請においても①人的要件 ②物的要件 ③財産的要件を満たす必要があります。基準をそれぞれまとめると下記のようになります。
《要件分析》
区分 | ①人的要件 | ②物的要件 | ③財産的要件 |
宅建業免許の要件 ⇒ |
専任の宅地建物取引士 | 事務所 |
・営業保証金の供託 もしくは |
※免許を受けようとする者が欠格事由に該当している場合は、免許申請をしても拒否されます。
専任の宅地建物取引士(人的要件)
宅建業法では免許制度に加えて宅建業者の専門家として事務所に必ず『専任の宅地建物取引士』を設置しなければならず、不動産業に従事する5人に1人の割合で『専任の宅地建物取引士』を設置することになっています。
また、もしも人数が不足した場合には、2週間以内に補充等必要な措置をとらねばなりません。
『専任の宅地建物取引士』として設置するためには、その宅地建物取引士が有効期限内の取引士証を持っているだけでなく、『専任』としてその会社だけで働ける人でなければならないため、他の会社で働いている人を『専任の宅地建物取引士』としたり、他の会社の常勤役員となっている人を『専任の宅地建物取引士』とすることは不可能です。
このように専任の宅地建物取引士とは、『常勤生』と『専従性』の2つの要件を満たしている必要があります。すなわち、①当該事務所に常勤 ②専ら宅建業の業務に従事 ということになります。なお、申請会社の取締役は『専任の宅地建物取引士』に就任することができますが、監査役は就任できません。
また、新たに宅建業免許申請を行う場合の専任の宅地建物取引士は、登録上は勤務先なしの状態でないと申請できないなど『専任の宅地建物取引士』については注意を要する点が多々あります。
事務所について(物的要件)
免許制度における『事務所』は重要な意味を持ちます。事務所の所在によって免許権者が決まり、また上記の通り事務所には『専任の宅地建物取引士』が必要です。さらに、事務所の数に応じて営業保証金の供託をしなければならないなどです。
また『事務所』の概念として、事務所とは『本店、支店その他の政令で定めるものをいう』(第3条第1項)と規定している通り、本店で宅建業を行わない場合でも支店で宅建業を行う場合は本店も宅建業の『事務所』となります。なぜなら、本店も何らかの中枢管理的な業務を行っているはずだからです。その一方で、支店の登記はあっても継続的に宅建業者としての営業の実態を備えていない場合は、事務所として取り扱われません。また、継続的に業務を行う為に、事務所は独立した形態を備えていることが求められ、一般の戸建て住宅やマンション等の集合住宅の一室を事務所として使用することや同一フロアに他の法人等と同居すること、仮設の建築物(テント張りや移動の容易な施設含む)を事務所とすること等は、原則として認められません。
営業保証金の供託もしくは保証協会への加入(財産的要件)
宅建業法では、宅地建物の取引が公正かつ安全に行われるように多くの規制があります。その場合においても取引上事故が発生することも考えられます。このような取引で生じた損害について弁済を一定範囲で担保するための措置として、あらかじめ『営業保証金』を供託することにより、発生した損害に相当する金銭の還付を受けることができます。『営業保証金』は、営業上の取引による損害の支払いを担保するための保証金となります。『営業保証金』の供託額は、主たる営業所(本店)で1,000万円、従たる事務所(支店等)で500万円(1店につき)となります。
しかし営業保証金の供託はとても多額な為、保証協会への加入が一般的です。保証協会へ加入する宅建業者はその保証協会の社員という位置づけになります。『弁済業務保証金分担金』を支払い、保証協会へ加入すれば、前記の営業保証金の供託は必要なくなります。現在においては、『全国宅地建物取引業保証協会』(ハト)と『不動産保証協会』(ウサギ)の2団体が指定されています。弁済業務保証金分担金の納付額は、主たる事務所(本店)で60万円、従たる事務所(支店等)で30万円(1店につき)となります。ただし、これ以外にも加入金等が必要となります。
《営業保証と弁済業務保証金分担金の金額》
主たる営業所(本店) | 従たる営業所(支店等) | |
営業保証金 | 1,000万円 | 500万円(1店につき) |
弁済業務保証金分担金 | 60万円 | 30万円(1店につき) |
欠格要件
福岡県大野城市の行政書士です。取扱い業務は、建設業許可、宅建業許可、古物商許可等の許認可業務です。その他業務に関するお問い合わせもお気軽にお問い合わせください。
それでは宅建業免許取得要件が分かったところで、必要書類と注意事項を見ていきましょう。