公正証書遺言とは
公正証書遺言は、法律専門家である公証人関与のもと作成するので 方式や内容で無効となることはまず考えられません。 管理に関しても公証役場にて保管される為、紛失や偽造の心配もなく 最も安全確実な遺言といえます。
遺言書を公正証書で作成する意味
第三者の『公証人』が関与・作成することで、公文書として扱われることにあります。
相続発生後に遺産分割が整いそうにないような場合に、遺言を公正証書で 作成しておくことで、遺言の法的有効性や内容の明確性を確保することができます。
また、紛争の可能性が少ない家族構成であったとしても、公正証書の遺言で 予め遺産の分け方を確定しておくことで、紛争予防としての効果も発揮します。
もし自筆証書で遺言を作成しておいたとしても、それが本当に遺言者本人の真意であるかどうか疑った 相続人が争いを起こすことも想定されますので、公文書として作成された公正証書遺言は絶対的に「強い」のです。
他方で作成手数料がかかること、公証役場に出向く必要があること、証人2人 を要する等の負担がありますが、特別の事情がある場合を除き上記の理由から 公正証書遺言をおすすめします。
公正証書遺言を特に勧める場合
公正証書遺言は、公証人と証人2人の立会いのもと作成されます。下記のような自書が難しい、身体能力に不安がある場合でも確実な遺言書を作ることができます。
1.遺言の内容が複雑で自分で書くのが困難。
2.遺産種類が多くかつ多額。
3.法解釈が分かれる事案、公序良俗に反する疑いがある。
4.認知能力への不安がある。
5.目が見えない、耳が聞こえない、話すことができない、字が書けない等の事情がある場合。
公正証書遺言のメリット・デメリット
ここで公正証書遺言のメリット・デメリットをまとめてみましょう。
・メリット
1.遺言が無効になるリスクが低い。公証人は法律の専門家であり、遺言の法的有効性や内容の明確性を確保します。
2.遺言を紛失するリスクがない。公証役場で原本を保管することで、遺言の偽造や紛失を防ぎます。
3.遺言を自分で書く必要がない。文字が書けない場合や遺言の内容が複雑な場合でも、公証人に口頭で伝えれば遺言書を作成できます。
4.遺言の検認が不要。公正証書遺言は家庭裁判所の検認手続きが不要なので、遺言者の死亡後すぐに相続手続きを開始できます。
・デメリット
1証人が必要になる。公正証書遺言を作成するためには、公証人以外に2人以上の証人を用意しなければなりません。証人は遺言の内容を知ることになります。
2.費用がかかる。公正証書遺言の費用は、財産の価額に応じて変わりますが、最低でも5,000円以上かかります。また、出張料や交通費なども別途必要になります。
3.時間がかかる。公正証書遺言を作成するためには、事前に遺言内容や必要書類を準備し、公証人と打ち合わせし、公証役場で遺言書を作成するという手続きが必要です。これには数日から数週間かかる場合もあります。
公正証書遺言を作成する6つの流れ
1.依頼者様との面談
依頼者様との面談 作成動機や内容を確認します。 依頼者様の財産内容や相続人を確認し、ご希望内容をお伺いします。
2.資料収集
資料収集 ・遺言者の戸籍謄本1通、印鑑登録証明書1通 ・財産をもらう人の書類 1.相続人の場合 遺言者と続柄がわかる戸籍謄本 2.相続人でない場合 住民票 ・財産の中に不動産がある場合 1.固定資産納税通知書または固定資産評価証明書 2.不動産の登記事項証明書 ・金融資産がある場合 金融資産の概算をメモする。
3.遺言書文案作成
遺言書文案作成 原案を作成し、依頼者様へ提示します。 修正箇所があれば修正し、依頼者様の承認を得ます。
4.立会人の準備
立会人の準備 遺言者の友人等に依頼する方法、公証役場に依頼する方法 (1名につき6,000~10,000円程度)、当事務所にて提携のある 士業に依頼する方法があります。
5.公証人と打ち合わせ
公証人と打ち合わせ 相続関係図、遺言書文案、資料を持参し説明します。 後日公証役場から作成案が届き、内容の確認をします。 並行して依頼者様にも確認をいただき、公証人へ了承の返事をします。
6.作成当日
待ち合わせ時間の確認と実印の持参を依頼者様へお願いする。 待合室にて文案の再確認をします。 その後面談室にて公証人が依頼者様(遺言者)と証人の本人確認をします。 公証人が作成案を読み上げて間違いないか確認し、本人と証人が署名・捺印します。
遺言書は3種類(原本・正本・謄本)作成されます。 原本は公証役場で保管されるため、紛失や改ざんの心配がありません。 正本は遺言者に交付され、謄本は証人に渡されます。