【建設業 経営事項審査】補正連発したはなし

開業して間もなく舗装業がメインの建設業者さんから経営事項審査のご依頼をいただきました。
依頼元は友人が経営している会社で、持つべきものはやっぱり友達だなぁと。
もちろん初めての業務で県の手引きを見たり、ネットを参照したりと四苦八苦。経営事項審査を受ける前に経営状況分析が必要?名前が似てるけど何が違うの??依頼先は登録機関?何それ、おいしいの?などでさらに混乱しました。それでも業務を進めて提出までこぎつけ、なんとか県の経審・入札審査室へ提出!『ああ、何とかなった。。』と安堵するも、提出した翌日にはさっそく審査室から補正の連絡が入りました。(泣)

1回目の補正

連絡の内容は『決算変更届』受理の写しの代わりに『財務諸表一式』『工事経歴書』『直近3年間の事業年度施工金額』を提出してくださいでした。
実はこの建設業者さんは事業年度中に建設業許可を取得していなかったので『決算変更届』の提出は必要ありませんでした。
経営事項審査を申請する為には、本来『決算変更届』受理の写しを出さないといけませんが、今回はない代わりに上記の『財務諸表』『工事経歴書』『直近3年間の事業施工金額』を財務状況や工事実績を確認する為に出してくださいと。
上記のように、経営事項審査を申請するための必要書類に『決算変更届』受理の写しがあります。その『決算変更届』とは建設業バージョンの決算書のようなもので財務諸表(建設業仕様)や工事の実績が確認できる工事経歴書などの書類です。
この建設業者さんは事業年度終了後に初めて建設業許可を取得したので、今回は『決算変更届』の提出は不要でした。詳しは下記をご覧ください。
【建設業】初仕事だった決算変更届のはなし

『決算変更届』受理の写しは提出できませんでしたが(ないので)、代わりに建設指導課の指示通り『財務諸表一式』、『工事経歴書』、『直近3年間の事業年度施工金額』を提出しました。自分が無知で、しっかり確認をしなかったからご迷惑をかけたなあ。これで大丈夫かなと思ったのもつかの間、翌日また建設指導課より連絡が入りました。。(泣)

2回目の補正

今度の連絡は、消費税の対象売上高の確認のお電話でした。内容は総売上高に対して、消費税の対象売上高が少ないのはなぜ?というもの。
確かに少ない。。 なぜ??なにも考えずに税務報告の損益計算書をそのまま入力するからこんなことになるんですよね。少し自己嫌悪になりました。。とにかく確認しなければ。
訳を話して顧問税理士さんに確認したところ、理由は『課税事業者になるタイミングで消費税の計算をしたから』でした。確かにいただいた資料を見るとインボイス登録後の売上が消費税の課税対象金額になっていることが確認できました!解決できてよかった!早速資料を提出しました。今回は前回と違ってすぐ連絡もなかったのでもう大丈夫かなと。と・こ・ろ・が、3度目の補正連絡がまたまた入りました。(泣)

3回目の補正

今回も私の知識不足が招いたのですが、技術者要件についてでした。ご依頼いただいた建設業者さんは社長が1級土木施工管理技士をお持ちで、役員の奥様も2級土木施工管理技士を取得されていました。
よって技術者を2名で申告し、会社に6ヶ月以上在籍していることの証明として、健康保険証と厚生年金被保険者標準報酬額改定通知書を出していました。奥様は社長の扶養に入っている為、厚生年金被保険者標準報酬額改定通知書はなく健康保険証のみの提出です。
ところが技術者になる為には、技術者と所属建設会社との間に直接的かつ恒常的な雇用関係であることが必要で、被扶養者の健康保険証ではその証明ができず、技術者として認められないということでした。当然と言えば当然なのかもしれませんが、手引きを見ながらなんとか進めている身なので、『どういう理屈で必要なのか?』ということまで頭が回らず今回のような補正となってしまいました。『奥様の健康保険証も提出できているし、手引き通りで問題ない』と何の証明の為に提出しているのかを全く理解できていませんでした。
はあ、しかし補正ばっかやな。次は大丈夫だろうか?と思った矢先、4回目の連絡が入りました。。

4回目(最後)の補正

今回は連絡を審査室からいただいた時、この書類を準備いただけたら受付完了ですと前置きをいただいていました。(本当に何度もすみません)
その内容ですが、経営事項審査の加点要素の『社会性』中に、『法定外労災補償制度の加入』というものがあります。

これは建設現場等での労働災害の発生に対して、 国の行う 労働者災害補償保険(労災保険) に上乗せして労災補償を手厚くするものです。 労災保険に加えて、企業が費用を負担して任意で法定外労働災害補償制度に加入するもので、経営事項審査の審査項目 法定外労災補償制度は、経営事項審査の審査項目として、加点評価の対象になります。 加入している場合、 その他(社会性等)評点W の 担い手の育成及び確保に関する取組の状況(W1) で、プラス15点の加点になるものです。ただ、労災補償に入っていればいいという訳ではなく、経営事項審査で求められる補償内容でなければ認められません。下記がその要件となります。

  • 業務災害と通勤災害のいずれも保険給付の対象
  • 直接の使用関係にある職員及び下請負人の直接の使用関係にある職員のすべてを保険給付の対象としていること
  • 死亡及び労働災害補償保険の障害等級1級から7級までに係る災害の全てを保険給付の対象としていること
  • 共同企業体による工事及び海外工事を除くすべての工事現場の災害を保険給付の対象としていること
  • 保険加入期間が審査基準日を含むもの

以上の内容が保険証券で確認できればいいのですが、1枚の証券には、保険契約者、補償対象者と特約内容、補償項目などだけで上記のような詳しい記載はありません。契約した代理店さんにも確認したのですが、証券自体にそこまで詳しい記述があるものを見たことないと言われてしまいました。。しょうがないので、その労災保険の約款と特約集を証券会社のHPからダウンロードして提出しましたが、回答はNGでした。。
『いったいどうすればいいの?』と悩んでいたところ、保険会社の代理店さんからの連絡で『証明書を保険会社が発行してくれました!』と。『そんなのあるんだ、手引きにもそんなこと書いてないし。。』とにもかくにも、いただいた証明書を審査室に送り、やっと最後の補正が終わりました!

まとめ

経営事項・入札審査室の○○様、たいへんお手数をお掛けいたしました。親切にご教授いただき、ありがとうございました。事前に県の部署はぶっきらぼうで喧嘩をよくしたと支部の先生から聞いていたので、かなりびびっていましたが、ご担当の方が本当にいい方だったので安心しました。(たまたまラッキーだったのでしょうか?)
とにかく、次はこのようなミスをしない為の備忘録として、また私と同じようなミスを新人行政書士さんがしない為に恥を忍んで書きました。(自業自得ですが)ミスをするということは、県の収受が遅れてお客様に迷惑をお掛けすることにつながります。この建設業者さんも、この後に大野城市への指名願いが控えており時間的余裕があったわけではありません。
ちなみに県の書類収受日は『7月30日』、経営規模等評価結果通知書が届いたのが『8月20日』でした。手引書には通知書が届くまでに収受から1、2ヶ月と記載がありましたが、予想以上に早くて3週間ぐらいで通知書をいただき助かりました。今回はたまたま早かっただけかもしれませんので、当事務所にご依頼いただける以上、今後は余裕をもってミスのないようスピーディに職務を全うしていきたいです。

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