移転登録は、所有者が別人になる時に申請します。法律的には所有権が移転した時にする申請なので移転登録といいます。所有権が移るケースは色々ありますが、よくある売買・譲渡についてご案内します。
売買と譲渡の場合の必要書類
移転登録(名義変更)の最もよくある形が、売買や贈与の際の必要書類です。必要書類は下記になります。
移転登録必要書類
書類名 | 備考 |
自動車検査証 | 有効期間内であるもの。紛失の場合は事前に再発行が必要 |
譲渡証明書 | 旧所有者の実印を押印 |
旧所有者の委任状 | 実印を押印 |
旧所有者の印鑑証明書 | 発行後3ヶ月以内 |
新所有者の委任状 | 実印を押印 |
新所有者の印鑑証明書 | 発行後3ヶ月以内 |
新使用者の委任状 | 省略可 |
新使用者の住民票、登記事項証明書、印鑑証明書等の住所証明 | 発行後3ヶ月以内、写し可 |
自動車保管場所証明書(車庫証明) | 発行後40日以内、使用の本拠の位置に変更があった場合 |
公共料金の領収書などの所在証明 | 発行後3ヶ月以内、使用の本拠の位置が使用者住所と一致しない場合で、使用の本拠の位置に変更がない時、または車庫証明が不要な地域の場合 |
移転登録申請書 | OCRシート1号様式、運輸支局等で配布 |
手数料納付書 | 運輸市況等で配布 |
税申告書 | 自動車税事務所で配布 |
※旧所有者が住所や氏名の変更手続きを怠っていた場合(車検証の所有者の記載と旧所有者の印鑑証明書の記載が一致しない場合)は追加で下記の書類
・車検証記載の所有者住所(氏名)と旧所有者の印鑑証明書の記載をつなげる住民票(戸籍謄本・履歴事項証明書等)
※ナンバープレートの管轄が変わる場合や、自分で好きな番号に変えたい場合は追加で下記の書類等
・古いナンバープレート(持ち込みの場合は車ごと)
・希望番号予約済証(希望番号を付ける場合)またはナンバープレート代金
相続および合併の必要書類
通常の移転の場合は、譲渡証明書を発行して誰に自動車を譲ったか明確にし、印鑑証明書と委任状を提出します。
しかし、相続や合併の場合は旧所有者は存在せず、印鑑証明書、委任状、譲渡証明書は提出できません。
したがって別の書類で権利の移転を証明する必要があります。
相続と相続人
自動車の所有者が亡くなると、車両は自動的に相続人の所有(共有)となります。相続人となる方は以下の通りです。
被相続人(車の所有者)との関係 | 相続の順位(上位がいない場合のみ下位が相続人となります) |
配偶者(夫または妻) | いる場合は常に相続人 |
子(代襲相続あり) | 第1順位 ⇒ いる場合は常に相続人 |
直系尊属(父母、祖父母等) | 第2順位 ⇒ 子、孫等がいない場合のみ相続人となります |
兄弟姉妹(1代のみ代襲あり) | 第3順位 ⇒ 第1順位、第⑵順位がいない場合のみ相続人となります |
相続を原因とした移転登録(遺産分割協議なし)
車の所有者が亡くなった場合、自動車は相続人全員の共有となりますが、相続人が1人しかいない場合は1人で自動車を引き継ぐため、遺産分割協議書は必要ありません。必要書類は下記の通りとなります。
書類名 | 備考 |
自動車の所有者の死亡が分かる戸籍謄本 | |
相続人全員が分かる戸籍謄本 | |
自動車検査証 | 有効期限のあるもの。紛失の場合は事前に再発行が必要。 |
新所有者の委任状 | 相続人複数の場合は全員分(実印を押印) |
新所有者の印鑑証明書 | 相続人複数の場合は全員分(実印を押印) |
新使用者の委任状 | 所有者以外の者を別に定める場合のみ・省略可 |
新使用者の住所証明書類 | 所有者以外の者を別に定める場合のみ・写し可 |
自動車保管場所証明書(車庫証明) | 発行後40日以内 |
公共料金の領収証などの所在証明 | 発行後3ヶ月以内、車庫証明が不要な地域で使用者住所と使用者の本拠の位置が異なる場合 |
移転登録申請書 | OCRシート1号様式、運輸支局等で配布 |
手数料納付書 | 運輸支局等で配布 |
税申告書 | 自動車税事務所で配布 |
相続を原因とした移転登録(遺産分割協議書)
相続をした場合、多くのケースでは遺産分割協議書により1人の人が承継します。自動車が不要で売却する場合でも誰か1人が承継してから現金化するケースが多いです。遺産分割協議書を使った場合の必要書類は下記の通りです。
・車の所有者の死亡が分かる戸籍謄本
・相続人全員が分かる戸籍謄本
・遺産分割協議書(相続人全員の実印を押印)
・その他共通の必要書類
※遺産分割協議書は相続人全員の実印を押す必要がありますが、印鑑証明書の添付が必要なのは新所有者となる相続人のみとなります。
相続を原因とした移転登録(遺産分割協議成立申立書)
自動車の査定額が100万円以下の自動車に限り、新所有者の申立書を遺産分割協議書に代えて使用することができます。相続後に売却するケースでは多く使われる手法です。もちろん100万円以下の自動車でも遺産分割協議書での手続きも可能です。
なお、遺産分割協議成立申立書は遺産分割協議が成立しており、その他の相続人が遺産分割協議成立申立書を使用して自動車手続きを行うことに同意されていることが必要です。遺産分割協議が成立していないのにもかかわらず、勝手に遺産分割協議成立申立書を使用して登録することがないよう注意してください。
遺産分割協議成立申立書を使用した場合の必要書類は下記になります。
・車の所有者の死亡が分かる戸籍謄本
・新所有者が相続人であることが分かる戸籍謄本
・遺産分割協議成立申立書(新所有者の実印を押印)
・その他共通の必要書類
・100万円以下であることが分かる査定書など
吸収合併による移転登録
吸収合併の場合、吸収した法人が所有する自動車については手続きをする必要がありません。同時に名称を変更するケースもありますが、その場合は変更登録の申請となります。吸収合併により消滅する会社が自動車を所有していた場合は所有者は消滅し、車両も含めた全ての財産は合併を受けた会社が引き継ぎ、その事実は商業登記の履歴事項証明書で確認ができるので、譲渡証明書、委任状、印鑑証明書は不要となります。
吸収合併時の必要書類は下記になります。
・合併の事実が分かる商業登記の履歴事項証明書または閉鎖事項証明書
・その他共通の書類
なお、会社合併の場合は、使用の本拠の位置が変更にならない場合が多いですが、その場合、例外的に使用の本拠の位置の証明書類は不要です。
相続・合併と税金
相続や合併の場合は、自動車税環境性能割は非課税となります。
また手続き先の運輸支局等も平日の日中に行かなければなりません。
弊所ではお客様に代わり、面倒なお手続きを代行させていただきます。お気軽にお問い合わせください。↓LINEオフィシャルアカウント↓
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