【ブログ】【相続手続】手続きに便利な「法定相続情報証明制度」

相続手続きを進める上で必要な不動産や株式の名義変更や銀行口座の解約。これらの手続きを行う上で
亡くなった方の出生から死亡までの戸除籍謄本や同じく相続人の戸籍謄本の束が毎手続きごとに必要になります。
手続きする銀行の数が増えるごとに時間も労力も倍増。。。
これを解消する制度「法定相続情報証明制度」で手続きを簡略化することができましたのでご紹介します!

法定相続情報証明制度とは

もともとは不動産の登記名義人(所有者)が死亡した場合、所有権の登記(相続登記)が必要になります。
ところが近年、相続登記が未了のまま放置されている不動産が増加し、問題になっています。
所有者不明土地問題や空家問題の一因になっているとの指摘から、相続登記を促進するために「法定相続情報証明制度」が創設されました。
本制度により交付された「法定相続情報一覧図」の写しが、相続登記の申請手続きをはじめ、被相続人名義の預貯金の払い戻し等、
様々な相続手続きに利用されることで、相続手続きに係る相続人、手続きの担当部署双方の負担が軽減される狙いがあります。

法定相続情報証明制度のメリット

法定相続情報証明制度は上記の通り、相続手続きに係る相続人、手続きの担当部署双方の負担軽減が狙いです。
それでは各メリットを見ていきましょう。

法定相続情報証明制度のメリット①

通常役所で取得する書類には手数料が発生します。(戸籍であれば1通300~750円など)これらは実費として相続人が負担します。
手続きの度に戸籍が追加で必要になったりなど、これが相続人の大きな負担となり相続手続きが滞ることもあるかと思います。
私もはじめて法務局で申請して驚いたのですが、法定相続情報一覧図は発行手数料が無料で、複数発行も可能です。

法定相続情報証明制度のメリット②

法定相続情報一覧図は登記所において5年間保管されます。この間は、追加が発生しても一覧図の写しを再交付してもらうことが可能です。不動産の名義変更や銀行口座の解約が思った以上に複数にわたった場合でも「法定相続情報一覧図の再交付の申出書」で対応が可能です。
・法定相続情報一覧図の再交付の申出書(word) (記入例) 法務局リンクへ飛びます

法定相続情報証明制度のメリット③

法務局へ法定相続情報一覧図の申請をすると、登記官による確認が入ります。登記官が戸籍の内容を確認して、補正があれば申請者へ連絡してくれます。

法定相続情報証明制度のメリット④

役所が開いている平日日中は仕事だったり、高齢で外出がままならないなど申出人が法務局へ出向くことができなくても代理申請が可能です。申出の手続きは、次の資格者代理人に依頼することができます。
・弁護士 ・司法書士 ・土地家屋調査士 ・税理士・社会保険労務士 

・弁理士 ・海事代理士 ・行政書士
※本制度の委任による代理は、上記の専門家のほか、申出人の親族に限られます。

法定相続情報証明制度のメリット⑤

本制度は、郵送でも申請することが可能です。郵送による申請をする場合、その旨を申出書に記入し、返信用の封筒及び切手を同封して郵送します。

法定相続情報証明制度のデメリット

多数のメリットがある「法定情報証明制度」ですが、全ての場合に利用価値がある訳ではありません。

「法定相続情報証明制度」は相続手続きに係る相続人、手続きの担当部署双方の負担軽減が狙いです。申請する際には、従来通りの戸籍収集と法務局指定の申請書等の書類が必要になります。手間もかかりますので、相続手続きが銀行1ヶ所だけなどの場合は、メリットがありません。

法定相続情報証明制度手続きの流れ

~法定相続情報証明制度の手続きの3ステップ~

ステップ① ⇒ 必要書類の収集
ステップ② ⇒ 法定相続情報一覧図の作成
ステップ③ ⇒ 申出書の記入・登記所へ申出

上記完了後、法定相続情報一覧図の写しが交付され、戸除籍謄本等の束の代わりとして各種相続手続きへ使用します。

ステップ① 必要書類の収集

手続きに当たって、用意する必要のある書類は、下記の通りです。

~必ず用意する書類~

/

  書類名 取得先 備考
被相続人(亡くなられた方)の戸除籍謄本 被相続人の本籍地の市区町村村役場 出生から亡くなるまでの連続した戸籍謄本及び除籍謄本を用意
被相続人(亡くなられた方)の住民票の除票 被相続人の最後の住所地の市区町村役場 被相続人の住民票の除票を用意
相続人の戸籍謄抄本 各相続人の本籍地の市区町村村役場 被相続人が死亡した日以後の証明日のものが必要
申出人(相続人の代表となって手続きを進める方)の氏名・住所を確認することができる公的書類

・運転免許証

・マイナンバーカード

・住民票記載事項証明書(住民票の写し)等

~必要となる場合がある書類~

  書類名 取得先 備考
(法定相続情報一覧図に相続人の住所を記載する場合)各相続人の住民票記載事項証明書(住民票の写し) 各相続人の住所地の市区町村役場 法定相続情報一覧図に相続人の住所地を記載するかどうかは、相続人の任意によるものです。各相続人の印鑑証明書や戸籍の附票でも代用できる

(委任による代理人が申出の手続きをする場合)
1.委任状
2.(親族が代理する場合)申出人と代理人が親族関係にあることが分かる戸籍謄本
3.(資格者代理人が代理する場合)資格者代理人団体所定の身分証明書の写し等

2.については市区町村役場 ①または③の書類で親族関係が分かる場合は必要なし
(②の書類が取得できない場合)被相続人の戸籍の附票 被相続人の本籍地の市区町村役場 被相続人の住民票の除票が市区町村において廃棄されているなどして取得できない場合は、被相続人の戸籍の附票を用意

(参照)法定相続情報証明制度の具体的な手続きについて ←法務局リンクへ飛びます

ステップ② 法定相続情報一覧図の作成

被相続人(亡くなられた方)及び戸籍の記載から判明する法定相続人を一覧にした図を作成します。

  その他の留意点 備考
法定相続情報一覧図はA4サイズの白い紙に記載  
被相続人の最後の本籍の記載は任意  
相続人の住所の記載は任意 記載した場合は、その相続人の住民票記載事項証明書等が必要
相続放棄をした相続人がいる場合も一覧図には氏名、生年月日及び続柄を記載  
推定相続人が廃除された場合は記載しない  
左右3cm、下5cm以上を空けること 作成した一覧図がそのまま利用される為、誤植に注意する

(参照)主な法定相続情報一覧図の様式及び記載例 ←法務局リンクへ飛びます

ステップ③ 申出書の記入、登記所への申出

申出書に必要事項を記入し、ステップ①で用意した書類、ステップ②で作成した法定相続情報一覧図と合わせて登記所へ申出をします。

  申出をする登記所(以下の地を管轄する登記所のいずれかを選択してください)
被相続人の本籍地
被相続人の最後の住所地
申出人の住所地
被相続人名義の不動産の所在地
  その他注意事項
一覧図の写しは相続手続きに必要な通数を申請
申出や一覧図の交付は郵送対応可能です。その際は、返信用封筒と切手を同封する
被相続人名義の不動産がある場合は不動産番号を記載する

・法定相続情報一覧図の保管及び交付の申出書(word)(記入例)←法務局リンクへ飛びます

(参照)法定相続情報証明制度の具体的な手続きについて ←法務局リンクへ飛びます

法定相続情報証明制度まとめ

以上、法定相続情報証明制度の意義とメリット、デメリット、手続き方法についてのご案内でした。
手続きをするに当り収集する書類が多数ありますが、その後の手続きが簡略化できますので場合によっては是非利用すべき制度です。
相続手続きは遺産整理だけではなく、相続税や確定申告、死亡年金の申請など多岐にわたります。簡素化できる部分は簡素化して、円滑に手続きを進めたいですね。相続人が平日多忙で手続きできない、高齢で外出がままならないなど、そんなときは私たち行政書士がお手伝いいたします。是非お気軽にお問い合わせください。

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